空き巣被害は、私たちの日常生活に大きな不安を与える犯罪の一つです。
警察庁の統計によると、2020年の空き巣被害は約3万件に上り、依然として深刻な社会問題となっています。
しかし、空き巣が狙う時間帯や手口を知り、適切な対策を講じることで、被害のリスクを大幅に減らすことができます。
本記事では、空き巣が好む時間帯の実態と、それに応じた効果的な防犯対策をご紹介します。
これらの情報を活用することで、皆様の大切な住まいと財産を守り、安心して暮らせる環境づくりにお役立ていただければ幸いです。
空き巣が狙う時間帯の実態

統計で見る空き巣被害の時間帯
空き巣被害は、一日のうちでどの時間帯に多く発生しているのでしょうか。
警察庁の犯罪統計を基に、詳しく見ていきましょう。
日中に多発する空き巣被害
意外に思われるかもしれませんが、空き巣被害は夜間ではなく日中に多く発生しています。
特に、午前10時から午後2時までの時間帯が最も多いのです。
この時間帯は、多くの人が仕事や学校で外出している時間であり、住宅が無人になりやすいためです。
具体的な統計データを見てみましょう。
- 午前10時〜12時:全体の約20%
- 午後12時〜14時:全体の約18%
- 午後14時〜16時:全体の約15%
これらの時間帯で空き巣被害全体の半数以上を占めています。
夜間の侵入窃盗:居空きと忍び込み
一方、夜間に発生する侵入窃盗も決して少なくありません。
夜間の侵入窃盗は主に「居空き」と「忍び込み」に分類されます。
- 居空き:在宅中だが、家人が気づかないうちに侵入され、金品を盗まれる犯罪
- 忍び込み:就寝中の家に侵入し、金品を盗む犯罪
これらの犯罪は、午後10時から翌朝4時までの間に多く発生しています。
特に、深夜0時から午前2時の時間帯が最も多く、全体の約15%を占めています。
曜日別・季節別の傾向
空き巣被害には、曜日や季節による傾向も見られます。
曜日別では、平日の被害が休日よりも多く発生しています。
特に月曜日から金曜日の被害が顕著です。
これは、平日に多くの人が仕事や学校で外出するため、住宅が無人になる時間が長くなることが原因と考えられます。
季節別では、夏季に被害が増加する傾向があります。
これには以下のような要因が考えられます。
- 長期休暇による留守宅の増加
- 暑さによる窓の開放
- 日が長くなることで活動時間が増える
なぜその時間帯が狙われるのか
空き巣犯が特定の時間帯を好んで狙う理由を理解することは、効果的な防犯対策を講じる上で重要です。
犯罪者の心理と行動パターン、そして住宅の脆弱性について詳しく見ていきましょう。
空き巣犯の心理と行動パターン
空き巣犯の多くは、リスクを最小限に抑えながら最大の利益を得ようとします。
彼らの行動パターンには、以下のような特徴があります。
- 人目を避ける:空き巣犯は、できるだけ人目につかないように行動します。そのため、多くの人が外出している日中の時間帯を狙います。
- 短時間での犯行:警察庁の調査によると、空き巣の平均滞在時間は約10分間です。この短時間で最大限の利益を得るため、貴重品が見つけやすい場所を優先的に探します。
- 容易な侵入経路の選択:施錠されていない窓や扉、簡単に破壊できるガラス窓などを好みます。日本防犯設備協会の報告によると、侵入口の約40%が1階の窓であることがわかっています。
- 下見の実施:多くの空き巣犯は、事前に標的となる家の生活パターンを観察します。この下見により、最も安全に侵入できる時間帯を特定します。
住宅の脆弱性:時間帯別のリスク要因
住宅の防犯上の脆弱性は、時間帯によって変化します。
以下に、主な時間帯別のリスク要因をまとめます。
- 朝の時間帯(6:00-9:00)
- ゴミ出しや通勤・通学で玄関を開け閉めする機会が多い
- 朝の慌ただしさで施錠を忘れるリスクがある
- 日中の時間帯(9:00-17:00)
- 多くの家庭で不在となる時間が長い
- 近隣住民も外出していることが多く、監視の目が少ない
- 夕方から夜にかけて(17:00-22:00)
- 帰宅ラッシュで人の出入りが多く、不審者が目立ちにくい
- 暗くなり始め、家の中の様子が外から見えやすくなる
- 深夜(22:00-6:00)
- 就寝中で警戒心が低下する
- 物音が目立ちやすい反面、助けを呼びにくい
空き巣の手口と対策

主な侵入方法とその対策
空き巣の手口を知ることは、効果的な防犯対策を講じる上で非常に重要です。
ここでは、主な侵入方法とそれぞれに対する具体的な対策をご紹介します。
無締まり対策:確実な施錠習慣の重要性
警察庁の統計によると、空き巣被害の約3割が無締まり(施錠忘れ)が原因で発生しています。
これは最も簡単に防ぐことができる侵入方法です。
【読者への問いかけ】
皆さんは、外出時に必ず全ての窓と扉の施錠を確認していますか?
確実な施錠習慣を身につけるためのチェックリスト
- 玄関ドアの施錠(2ロック以上が理想的)
- 窓の施錠(特に1階と2階の窓)
- ベランダやバルコニーの掃き出し窓の施錠
- 勝手口やガレージの扉の施錠
- 庭やテラスにつながる扉の施錠
これらを外出前に必ず確認する習慣をつけることで、無締まりによる侵入リスクを大幅に減らすことができます。
ガラス破り対策:防犯フィルムと補助錠の活用
ガラス破りは、空き巣の侵入手口の中で2番目に多い方法です。
この対策には、以下の方法が効果的です。
- 防犯フィルムの貼付:ガラスが割れても飛散しにくく、侵入を困難にします。
- 補助錠の設置:窓を開けにくくし、侵入時間を長引かせる効果があります。
- 防犯ガラスへの交換:割れにくく、侵入抵抗時間が長い特殊なガラスです。
【実用的なヒント】
防犯フィルムを自分で貼る場合は、以下の点に注意しましょう。
- ガラスの端から端まで隙間なく貼ること
- 気泡が入らないよう丁寧に貼ること
- 耐用年数(通常5-10年)を過ぎたら貼り替えること
ピッキング対策:高性能錠の選び方
ピッキングは、専門的な技術を要する侵入方法ですが、一般の錠前では数分で開けられてしまう可能性があります。
高性能錠の導入が有効な対策となります。
高性能錠を選ぶ際のポイント
- 耐ピッキング性能:CP(Crime Prevention)認定製品を選ぶ
- 耐破壊性能:堅牢な構造を持つものを選ぶ
- 複数のセキュリティ機能:電子認証や二重ロックなどの機能を持つもの
【次のステップへの誘導】
自宅の錠前の安全性が気になる方は、専門家による防犯診断を受けることをおすすめします。
多くのセキュリティ会社が無料または低価格で診断サービスを提供しています。
時間帯別の効果的な防犯対策
それぞれの時間帯に応じた効果的な防犯対策を紹介します。
日中の留守宅を守る方法
- タイマー式ライトの活用:在宅しているように見せかけるため、タイマー式のライトを設置します。
- 郵便物の定期的な回収:郵便受けに郵便物がたまっていると留守だとわかってしまいます。定期的な回収や、長期不在時は郵便局に転送依頼をしましょう。
- 防犯カメラやセンサーライトの設置:不審者を抑止し、万が一の場合は証拠として活用できます。
夜間の安全を確保する対策
- 外灯の設置:家の周りを明るくすることで、侵入者を寄せ付けにくくします。
- 就寝前の施錠確認:寝る前に必ず全ての窓と扉の施錠を確認する習慣をつけましょう。
- 防犯アラームの設置:侵入を感知して警報を鳴らすシステムは、夜間の安全確保に特に効果的です。
長期不在時の注意点
- 新聞や郵便物の一時停止:長期不在時は、新聞配達や郵便物の配達を一時停止しましょう。
- 信頼できる人に見回りを依頼:近所の方や親族に定期的な見回りを依頼し、不審な様子がないか確認してもらいます。
- SNSでの情報発信に注意:旅行中の写真やチェックインなど、不在であることを公開しないよう注意しましょう。
最新テクノロジーを活用した防犯対策

ホームセキュリティシステムの選び方
最新のホームセキュリティシステムは、24時間365日の監視体制で住宅を守ります。
システム選びのポイントを紹介します。
各種センサーの特徴と選択基準
- 開閉センサー:扉や窓の開閉を検知します。設置場所に応じて適切なタイプを選びましょう。
- 動体センサー:室内の動きを検知します。ペットがいる家庭では誤作動の少ないタイプを選ぶことが重要です。
- ガラス破壊センサー:ガラスが割られる振動や音を検知します。1階の窓に特に効果的です。
選択基準
- 誤報の少なさ
- 耐久性
- 設置の簡便さ
- 他のシステムとの連携性
スマートホーム機能との連携
- スマートフォンとの連携:外出先からでも家の状況を確認し、遠隔操作が可能です。
- スマートスピーカーとの連携:音声コマンドでセキュリティシステムを操作できます。
- スマートライトとの連携:不在時に自動で照明をコントロールし、在宅しているように見せかけることができます。
防犯カメラの効果的な活用法
防犯カメラは犯罪の抑止と証拠収集に役立ちます。効果的な活用法を紹介します。
設置位置のポイント
- 玄関周り:来訪者を確実に捉えられる位置に設置します。
- 1階の窓周り:侵入口として狙われやすい1階の窓をカバーできるよう配置します。
- 裏口や勝手口:人目につきにくい場所こそ、カメラでの監視が重要です。
- 敷地の境界線:不審者の接近を早期に発見できるよう、敷地の境界線付近にも設置を検討します。
プライバシーへの配慮と法的注意点
- 撮影範囲の制限:必要以上に広範囲を撮影せず、自宅の敷地内に限定します。
- 近隣への配慮:隣家のプライバシーを侵害しないよう、撮影角度に注意します。
- 撮影の告知:防犯カメラ作動中の旨を表示し、撮影されていることを明示します。
- データの適切な管理:録画データは適切に管理し、必要以上に長期保存しないようにします。
まとめ
空き巣対策は、時間帯や状況に応じた多層的なアプローチが効果的です。
本記事でご紹介した内容を簡潔にまとめます:
- 空き巣被害は日中に多く発生するが、夜間の居空きや忍び込みにも注意が必要
- 確実な施錠習慣が最も基本的で重要な対策
- 防犯フィルムや高性能錠の導入で物理的な防御を強化
- 最新のホームセキュリティシステムを活用し、24時間の監視体制を構築
- 地域ぐるみの防犯活動で犯罪抑止力を高める
安全で安心な暮らしは、日々の小さな心がけから始まります。
本記事の情報を参考に、ご自身や大切な人の身を守るための対策を始めていただければ幸いです。