皆さんは、空き巣と強盗の違いについて考えたことはありますか?
両者は一見似ているようで、実は大きな違いがあります。空き巣と強盗は、どちらも他人の財物を奪う犯罪ですが、その手口と罪の重さには大きな違いがあります。
空き巣は窃盗罪に、強盗は強盗罪に分類され、刑法上の扱いが異なります。この記事では、空き巣と強盗の違いを詳しく解説し、それぞれの犯罪に対する防犯対策についてもご紹介します。
警察庁の犯罪統計資料によると、2021年の空き巣等の侵入窃盗の認知件数は38,516件、強盗事件の認知件数は1,309件でした。
10年前と比較すると、どちらも大幅に減少していますが、依然として警戒が必要です。
空き巣(窃盗罪)とは
空き巣の定義と特徴
空き巣とは、人がいない住居や建物に侵入して財物を盗む行為を指します。刑法上は窃盗罪に該当し、他人の財物を窃取した場合に成立します。
刑法における窃盗罪の位置づけ
刑法第235条では、窃盗罪について「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」と定められています。空き巣は、この窃盗罪に該当する代表的な犯罪の一つです。
空き巣の典型的な手口
- 留守中の住宅に侵入し、金品を物色する
- ドアや窓の鍵を壊して侵入する
- ベランダや非常階段から侵入する
- 郵便受けに溜まった郵便物を目安に、長期不在の家を狙う
強盗罪とは
強盗罪の定義と特徴
強盗は、暴行や脅迫を用いて他人の財物を奪う犯罪です。刑法第236条に規定されており、窃盗罪よりも重い犯罪として扱われます。
刑法における強盗罪の位置づけ
強盗罪の法定刑は「5年以上の有期懲役」となっており、窃盗罪と比べてはるかに重い刑罰が科されます。
強盗の典型的なケース
- 武器を使って店舗や個人を脅し、金品を奪う
- 住居に侵入し、在宅者を縛るなどして金品を奪う
- 路上で通行人を殴り、所持品を奪う
空き巣と強盗の主な違い
法的観点からみる空き巣と強盗の違い
暴行・脅迫の有無
空き巣と強盗の最大の違いは、暴行や脅迫の有無です。空き巣は人がいない場所を狙うのに対し、強盗は暴行や脅迫を用いて財物を奪います。
刑罰の重さの比較
空き巣(窃盗罪):10年以下の懲役または50万円以下の罰金
強盗罪:5年以上の有期懲役
例えば、100万円相当の金品を盗んだ場合、空き巣なら執行猶予付きの判決も可能ですが、強盗の場合はほぼ確実に実刑判決となります。
窃盗が強盗に発展するケース
空き巣が強盗罪に問われる可能性
当初は空き巣のつもりでも、状況次第で強盗罪に問われる可能性があります。
事後強盗のケース
空き巣の最中に家人と鉢合わせし、逃げるために暴行を加えた場合、これは「事後強盗」として強盗罪に問われます。例えば、空き巣に入った家の主人が帰宅し、逃げようとする犯人を捕まえようとしたところ、犯人が主人を殴って逃走したケースが該当します。
防犯対策
空き巣と強盗から身を守る方法
近年、防犯技術の発達により、住宅用の防犯システムがより手頃な価格で導入できるようになっています。スマートフォンと連携したセキュリティカメラや、AIを活用した異常検知システムなど、新しい選択肢が増えています。
住宅の防犯対策
- 確実な施錠:出かける際は必ず全ての窓や扉に鍵をかける
- 防犯カメラやセンサーライトの設置
- 近隣との良好な関係づくり:お互いに気を配る環境を作る
- 長期不在時は新聞や郵便物の配達を止める
外出時の注意点
- 人通りの多い明るい道を歩く
- 貴重品は目立たないように保管する
- 深夜の一人歩きを避ける
- 不審な人物に遭遇したら、すぐに安全な場所に逃げる
自宅の防犯チェックリスト
- 全ての窓と扉に確実な鍵がついているか
- 玄関や裏口に防犯カメラやセンサーライトを設置しているか
- 貴重品の保管場所は外から見えないようになっているか
- 長期不在時の対策(新聞停止、郵便物の管理など)を立てているか
- 近隣住民と顔見知りの関係ができているか
このチェックリストを定期的に確認し、自宅の防犯対策を見直してみましょう。
当社の防犯コンサルティング業務を通じて、多くの方々から空き巣や強盗に関する相談を受けてきました。その経験から、防犯対策で最も重要なのは「習慣化」だと考えています。高価な設備を導入するよりも、確実な施錠や近隣との協力関係構築などの基本的な対策を日々実践することが、長期的には効果的です。
7. まとめ
空き巣と強盗の最大の違いは、暴行や脅迫の有無にあります。空き巣は窃盗罪、強盗は強盗罪に該当し、刑罰の重さも大きく異なります。しかし、状況によっては空き巣が強盗に発展する可能性もあるため、注意が必要です。日頃から防犯意識を高め、適切な対策を取ることが、これらの犯罪から身を守る最善の方法です。
空き巣や強盗の被害に遭わないためには、日頃からの備えが重要です。この記事で紹介した防犯対策を参考に、今日からできることから始めてみましょう。より詳しい防犯アドバイスが必要な方は、お近くの警察署や防犯設備士にご相談ください。